夕暮れ時の空は、時に思わず息を呑むような艶やかな色を纏い魅了させてくれます。でも、その瞬間はあまりにも短く、繋ぎ止めておきたくても二度と同じ光景を見ることは叶いません。陽はその彼方へと翳り、空に残された光は先を急ぐように端のほうからあっという間に消え去ってしまいます。

 

「紅蓮」というのは紅い蓮の花のことで、燃え盛る炎の色の例えで用いられます。紅蓮を纏った空の彼方へと陽は翳っていき・・・やがて沈む。終焉が迫るそこへ敢えて向かっていく・・・。

 

「紅蓮に翳る陽」をそのままの光景として読み解くか、さらに深読みして何かの象徴として捉えるかによって解釈はずいぶん違ってくるかと思います。

 

どちらも正解です。

 

「舌先に滴る甘き初西瓜」に続く、(おそらく)人生2作目となる俳句です。

 

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※「紅蓮」というのは、本来は晩夏の季語。・・・なので、季重なりと捉えられてしまうかなと迷ったんですよね。でも、花のそれとはまた別の意味合いだし、紅蓮地獄(あまりの寒さによって皮膚が裂け、そこから血が噴出した様子が紅蓮の花のようにみえる)という要素も含ませたかったので、敢えて「紅蓮」という言葉を選びました。