雨で濡れたワイシャツが透けて浮かび上がった青白い痩せた体と、猛禽類のような冷たく鋭い眼。そんな鮮烈なビジュアルで真っ先に思い浮かんだのは、TikTokなどで見かける、AIが生み出した絶世の美男・美女。透ける […]
「今日の短歌」の記事一覧
【今日の短歌】ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞのこれる(後徳大寺左大臣)
ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞのこれる 後徳大寺左大臣 ほととぎすの鳴くほうを眺めてみれば、ただ有明の月が残されているだけである。 ここらでも、数日前からホトトギスの鳴き声が聞こ […]
【今日の短歌】だれの真似かわからないけどコロッケの顔よく動く夜のめでたさ(小坂井大輔)
「見たまま」「感じたまま」をそのまま差し出しているようで、ただ明るいだけじゃなく、不安や虚無なんかに包まれていた夜だったんじゃないかなと思うんです。 なんとなくつけたテレビに映っていたバラエテ […]
【今日の短歌】銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも(山上憶良)
銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも 山上憶良 銀も金も宝石もいかほどのものか。どんな優れた宝であろうが、子という宝には及ばない。 「子どもは宝」という言葉はすご […]
【今日の短歌】曇る日のとある路上の植込みのつつじの花のしめりに触れつ(阿木津英)
この時期は、街のあちこちが躑躅で彩られます。庭先や街路樹としてそこらじゅうで咲いているので、それこそ路上がパッと華やぐ光景です。毎年恒例の当たり前な光景だけど、見るといいなぁと思っていて、この短歌に惹かれた […]
【今日の短歌】ぶらんこの南南西に藤棚があるから其処で待つてゐるから(冨樫由美子)
季節が藤の季節とは限らないけど、藤棚のそばってベンチとかありそうで、「待つこと」が似合う場所ですよね。あの木の骨組みの下にぽつんとベンチがあって、少し日陰になってて、藤棚そのものがどこか「待つ […]
【今日の短歌】菊芋の珠茎食ひたるその味を忘れしやひとはみな口噤む (北沢郁子)
東大山のさくらまつりま会場では、毎年、菊芋が売られています。以前から気にはなっていたものの、これまでは何となくスルーしていましたが、今年こそはと買ってみました。お店の方に聞いたところ、擦って味噌汁に入れても […]
【今日の短歌】野辺みれば弥生の月のはつるまでまだうら若きさいたづまかな(藤原義孝)
野辺みれば弥生の月のはつるまで まだうら若きさいたづまかな 藤原義孝 春の野を眺めているうちに、弥生の月が昇るほどの時が過ぎていた。 そこにいたのは、まだうら若く、目を引くような「さいたづま」 […]
【今日の短歌】足裏にふれてここにも土破る筍の秀はとがりて黄色し(白河まさ子)
今年の筍は慎重派なのか、出てくるのが遅くて、4月になっても一つも姿を見せませんでした。例年なら3月の半ば頃からポコポコと出てくるのに、こんなことは初めてです。「もう少し暖かくなってからにしようか」って、地中 […]
【今日の短歌】もみしだかれて狂うほかなし三月の疾風にしなう白き木の花(久々湊盈子)
「三月の疾風」としなやかさ 春の風って、一見すると季節の移り変わりを告げるものだけど、三月の風は特に荒々しく、時には嵐のように吹き荒れます。人生の試練や社会の荒波、運命の激流 みたいなものを暗示しているよう […]