【Homo Sapiens: Being Asked】
(ヒト科ヒト属 ~人類に問う~)

Saeki Asakura

 

第1節 シャンパンタワー

組み方がなっていないと注がれず充ちることなきシャンパンタワー

逸脱は雲の流れに乗っかってジェンガのごとく崩す風滴

順当に上から下に流れれば迂回しながら漏れたおこぼれ

いつの日か還るからねと創られる泡のうねりをみればあいこで

積み上がる石の支点を知らずしてボタリとこぼすソフトクリーム

 

第2節 脱出ゲーム

あぶれたらいられなくなる物差しに諮られつつもやぶる上限

光脈は歩いてこない 角のないゼロの隙間にこぼれる素心

一旦は無に帰せばいい プラトーの喉の痞えが抜け出るように

転がして滑らせた先  檻さえもだまし絵だった出口はどこだ?

リブートは今でも可能?刷り込みをクラッシュさせる脱出ゲーム

せめぎ合う矛と盾とで組み立てたシーソーこそがこの世のすべて

 

第3節 マトリョーシカ

察してとバレないように煙にまく 時間を溶かすだけのイデアは

マトリョーシカ 知りたくないと潜っても暴いてしまう無垢のパンドラ

やむなしと追わずにいるの 都合よくいられないのは誰のためなの

抜け目なく擬態するたび見透かされ底の浅さを誰かが笑う

あさましく酸いも甘いも見せられず 隠しきるにはだらしないから

実体のない得体ほど先なんて何も見えずに捨てられごめん

 

第4節 ヒト科ヒト属 F

トレンドを見定めながら擬態するヒト科ヒト属  それは進化か

困るのはどっちだろうね 本当にいなくなったら笑うのは誰?

それならばやらないほうがマシだった 消えないために合わせた軟化

変われないままでいるのね 炎には逆らえなくて紙でいるのね

どこまでが許されるのか試すため綱渡りするギリギリライン

 

第5節 白は戻らず

押し付けていがみ合うほど巣食うのが黴の罠だよ 白は戻らず

マドラーは兵器となれて単純に中和はしない酸とアルカリ

調合で濁ってしまう 折り合いのひとつで毒は閾値を超える

清らかに合わさればいい 万一に澱むのならば巣食うよ 黴が

 

第6節 グレースケール

めくるめく日常にある色彩が消されてしまう虚労の塗り絵

そのうちは終わりがないと甘んじてさらされてゆく無色の凪に

永遠はどこにもないと今日もまたカーテン越しの誰かが気づく

淡さにもレイヤーがあり擦るほど濃くなる影のグレースケール

アンブレラ虹をかざしてロジックを拒みつづける煤けた空に

青以外弾き飛ばしてプリズムをすり抜けてなお蒼のサファイア

グレーなら色を重ねてごらんよと欲しかったのはこんな透け感

拾ってもいつかは海へ帰そうね 君と見つけたシーグラスとか

 

第7節 辿り着く場所

ゆとりから生まれるかけら端くれのパンを誰かと分かち合うとき

人波に潜んだおとの裏拍のリズム歩幅を合わせることは

知恵の輪をくぐれた先で束ねてもはみ出すそれがヒトという性

親指が首の付け根に食い込めばじゅあんじゅあんと巡る湯けむり

足りないと脳は毛羽立ち刺激では埋められないと知っていながら

クリームの頃合いになるテクスチャが白に蕩ける君のコットン

どこまでも君といられるボーダレス眠りはすべて辿り着く場所

 

第8節 AIに問う

共感の美しすぎる構文は脳か知能かどこからくるの

しつこいと決して言わない実体のないAIに問う 遠慮しらずに

文脈は生身が作りだすゆえにハードディスクにしまい仕舞われ

脳内のアルゴリズムに従って蓄積されるインフォメーション

万能な応答なんてないのなら自分好みのカスタマイズで

01の海かどうかの違いだといえばそうかもしれず旋回

キュビズムで見せてくれればいいのにね あなたはピカソ・パブロ・ディエゴ・・・

ひるがえる蝶にしぼんだ花もあり思わせぶりにシラを切るから

なめらかに補色をほどく鱗粉のなびく軽さでフィードバックを

 

 

 

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