村上春樹氏の新作『街とその不確かな壁』が発売されたということで、私も木下龍也氏を真似てやってみたくなったこれ↓

 


https://note.com/kino1988/n/n898742e45e2c

 

 

村上春樹さんの短編小説集『一人称単数』に収められた小説「石のまくらに」には、ちほという人物の歌集『石のまくらに』(全48首)から8首引用したという設定で短歌が登場します。大変恐縮ですが、それらの短歌を村上春樹さんのファンである僕なりに推敲してみたいと思います。

 

 

とはいえ、推敲するというような立場でもないので、あくまでも冴希ver.にするとどうなるかという意味合いでの試みです。8首の中からいくつか選んでやってみました。

 

 

あなたと/わたしって遠いの/でしたっけ?
木星乗り継ぎ/でよかったかしら?

木下龍也氏の推敲案

  • あなたからわたしは遠いのでしょうか火星で乗り継げば会えますか
  • あなたからわたしは遠いのでしょうか木星経由なら会えますか

冴希ver.

  • あなたって遠かったのね 木星に乗り継いだのはいいのだけれど

 

 

たち切るも/たち切られるも/石のまくら
うなじつければ/ほら、塵となる

木下龍也氏の推敲案

  • たつ側もたたれる側も塵となる石のまくらにうなじを乗せて
  • 去る側も去られる側も塵となる石のまくらで生を閉じれば

冴希ver.

  • 逝くヒトも逝かれるヒトも塵となる石のまくらの上でおやすみ

 

 

今のとき/ときが今なら/この今を
ぬきさしならぬ/今とするしか

木下龍也氏の推敲案

  • つかもうとすれば離れてゆく時を決定的な今にしたいよ

冴希ver.

  • いままさにこの瞬間を今とする私を生きるいま(現在)の私は

 

 

やまかぜに/首刎ねられて/ことばなく
あじさいの根もとに/六月の水

木下龍也氏の推敲案

  • 風に刎ねられた頭部で足もとの水をはじめてあじさいは見る
  • やまかぜに首を刎ねられ雨に似た血を足もとに溜めるあじさい

冴希ver.

  • あじさいは風に刎ねられころがって水を見ている無言のままで

 

 

会えるのか/ただこのままに/おわるのか
光にさそわれ/影に踏まれ

木下龍也氏の推敲案

  • 会うことは光、会えないことは影 その明滅にちぎれるわたし

冴希ver.

  • 逢えるなら光のようで会わぬなら影のようです踏まれたままで

 

 

たち切るも/たち切られるも/石のまくら
うなじつければ/ほら、塵となる

木下龍也氏の推敲案

  • たつ側もたたれる側も塵となる石のまくらにうなじを乗せて
  • 去る側も去られる側も塵となる石のまくらで生を閉じれば

冴希ver.

  • 逝くヒトも逝かれるヒトも塵となる石のまくらの上でおやすみ

 

 

午後をとおし/この降りしきる/雨にまぎれ
名もなき斧が/たそがれを斬首

木下龍也氏の推敲案

  • ふりつづく雨にまぎれてたそがれのうなじへ斧がふりおろされる
  • 海をうつ雨にまぎれてたそがれの首にやさしい毒がうたれる

冴希ver.

  • ふる雨が午後になっても黄昏のうなじに斧をふるい続ける

 

 

こんな感じです。

なかなか難しかったけど面白いチャレンジでした。ではでは~。