タイミングひとつズレたらこの位置にいられなかった雨のささやき

クラゲには光に透ける芯がありラピスラズリの背中の向こう

ゆうらりと吐きだしながらゆるやかに囚われつつも鎖は糸に

面差しは朽ちることなく永劫に息絶えるまで息絶えてなお

満ち欠けて完成形はどこなのと曖昧なまま月はまあるい

境目を決めかねながら白黒のあわいでつなぐ螺旋階段

紫陽花は弛まずゆれて葉の裏に分銅となるカタツムリあり

二年後の猶予があればその先も伸ばす手のひら一縷の光

傷ひとつ隠すことなく立ち尽くす君の影こそ光のかたち

こんなにもあがいているとありったけ叩き出すからどこまでも跳べ

深くなる影もあなたに味方する 色を透かした玻璃のうつわよ

 

 

 

最終章となるこの章は、すべてを抱えたまま透明になっていく章です。終わりではなく、静かな持続として物語がほどけていきます。

 

これらの歌の背景にある「物語」や、制作における「構造の解剖」については、noteにて詳しく綴っています。▶連作 [『大輪となる』構造解剖 | 第4章:玻璃のうつわ