「はるかな」は距離や時間の遠さを連想させ、「針葉樹林」は深く静かな森のイメージ、そして「翳り」はその森が放つ影、あるいは内面に射す不穏や沈鬱の気配。「前髪に」「縦に」と畳みかけることで、日常の延長ではなく、 […]
「短歌」タグの記事一覧
【自作短歌】始まりはあの観覧車 君はただ日常にいて私は堕ちた(朝倉冴希)
観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ) 栗木京子 「我には一生」にある背景は何なのか。観覧車の他には何も見えてきません。「観覧車」の一言で「一生分の想い」と釣り合うほ […]
連作「ガーデン」を再構成してみました
「ガーデン」 あそこにもニラが自生しそのことにようやく気づく花の咲く頃 根絶やしにされないように刈り取られ側溝脇で枯れる夏草 またの名を月下美人と申します 彼とはそんな恋をしました くたばった […]
【今日の短歌】星よりも星のかたちに咲く桔梗花もめしべも五つに裂けて(俵万智)
「星よりも星のかたちに咲く」「めしべも五つに裂けて」実際の星よりも星形の完成形に忠実であり、花弁と雄蕊にひっぱられるように五裂するめしべ。桔梗という花の構造を正確に捉えてながら、造形の美しさを際立たせています。 &nbs […]
【今日の短歌】まだ夏に追いついていない あちら側より垂れ下がるノウゼンカズラ(前田康子)
梅雨も明けきらないうちに、一気に夏が来たかのようです。梅雨入りの頃からすでに35度近い日もあり、この先、本格的な猛暑がどうなることやら……と、思わず先を案じてしまいます。 ご近所の庭ではノウゼ […]
【今日の短歌】誰もかくあらまほしけれこの花のいはぬに人のなほもめづらん(樋口一葉)
一葉自身が明言していないため断定はできませんが、「この花」とは「くちなしの花」を念頭に置いて詠んだ可能性は極めて高いと考えられます。真っ白な花弁と、甘くて強い芳香が特徴で、梅雨から初夏にかけての今の時期に花 […]
【今日の短歌】紫陽花の花は水面に映れるやモーリス・ドニの「花飾りの船」(小林幸子)
モーリス・ドニといえば、象徴主義でナビ派の代表格であり、写実主義(リアリズム)とは真逆。「絵画とは平面を調和された色彩で覆うことにほかならない」という、明確な芸術観を持っていました。「花飾りの […]
【自作連歌】駅前旅館
駅前旅館 東西線7番出口すぐ脇に白地に黒く駅前旅館 踏み入ればあまたの靴と階段にオブジェのように並ぶスリッパ もてなしは女将ひとりがやるらしく僅かながらに息は乱れて ひと癖もふた癖もある内装は […]
【今日の短歌】にぎやかにワルツを踊る星たちのどれかはぼくも生きやすい星(久遠遊)
今年は、「美しく青きドナウ」「ウィーンの森の物語」「皇帝円舞曲」などを手掛け、“ワルツの王” とも称されるヨハン・シュトラウス2世の生誕200周年。これを記念して、ウィーンではムジークフェライン、コンツェル […]