「東京バンドワゴン」でおなじみ、小路幸也氏の作品。
この小説に出てくる神様とは、死神、疫病神、貧乏神、道祖神・九十九神・福の神。
オムニバス形式になっていて、それぞれの神様が人間あるいは物の姿を借りて主人公と関わっていきます。とはいえ、まったく別々の物語かといえばそうではなく、微妙につながっていたりします。
そして、どの神様もとても人間想いであり、人間の幸せのために存在しています。一般的に不吉だというイメージがある、死神、疫病神、貧乏神もです。
サン=テグジュペリの「星の王子さま」の中に、「大切なものは目には見えない」という有名なセリフがありますが、そういうことなんですね。
もしかしたら、あなたや私の周りでも気づいていないさりげない優しさや気遣いがあったのかもしれないし、ついていないと思っていてもそれはもっと大きな災いを未然に防いでくれた結果なのかもしれません。
目に見えるものがすべてではなく、人はそうやって生かされているんだよと改めて教えられた気がしました。また、大切な誰かをそんな風に支えられる自分でありたいとも思いました。
そうそう。あの死神がキュン死レベルの超イケメンというのもポイントです。あれはずるいわ(笑)