「桐島、部活やめるってよ」や「何者」でおなじみ、朝井リョウさんの作品。

 

NEXT YOUという、アイドルユニットに所属する愛子が主人公。グループの目標でもある武道館に立つことを夢見ています。

 

ファン = ネクス中毒   ファンとの握手会 = 席替え LIVE = 授業参観などと呼び、教室の隣の席をモチーフした握手会や、歌ハメと音ハメの2パターンある振付など独自のプロモーションでの差別化。

 

「ネクステ」と呼ばれるYOU TUBEの公式チャンネルを用いた動画配信。メンバーやファンへのサプライズ演出。握手券などの特典商法。一般人のなにげないSNSから発覚したスキャンダル。世間からの過干渉、容赦ないバッシング。知名度が上がるにつれ、求められるモラルやスルースキル。

 

混沌とした世相のうねりの中で、純粋に歌とダンスが好きだったはずが、しだいに自分のあるべき姿を見出せなくなってしまいます。

 

そんなときに心の救いになってくれていたのは、同じマンションに暮らす幼馴染の大地。

 

幼いころから歌とダンスが大好きで、アイドルに憧れ、アイドルとしてデビューする夢を叶えた愛子。時は確実に流れていくから、アイドルのその先を生きていかなければならないから・・・。その時に、自分はどう生きていきたいのだろう。何を大切にして生きていきたいのだろう。

 

恋と夢の間で悩み抜いた末、彼女はある決意をします。

 

その選択が正しいのかどうかは、愛子にしか決められないし彼女自身にしかわかりません。ただ、そこに確固たる覚悟があったなら後悔だけはしないんじゃないかなと思います。

 

今どきのアイドル事情、裏側もそうですけど、その根底にある愛子や彼女をとりまく感情の揺らぎがとても丁寧に描かれています。

 

 

ところで、アイドルっていうと=可愛いというイメージがありますが、可愛い中にも個性というかちょっとクセのあるようなコのほうが印象に残りやすいし、売れている気がします。個人的な意見ですが。

 

孤高で手が届かない昔のアイドルと比べると、今はグルーブが主流でもっと身近で親しみやすいイメージ。抱える事情や悩みも、違うところもあれば共通するところもあるんでしょうけど、今も昔もアイドルは憧れの象徴ですよね。

 

 

尚、「武道館」はドラマ化もされており、Juice=JuiceというアイドルグループがNEXT YOUのメンバーを演じています。公式サイト