作詞家として、EXILE、三代目j soul brothers、flower、中山美穂さん、中島美嘉さんといった名だたるアーティストに詩を提供している小谷正人氏。
小竹氏の詩でいうと、三代目j soul brothersの「花火」や「C.O.S.M.O.S. 〜秋桜〜」「冬物語」などに代表されるようなバラード系の世界観がドンビシャ!!だったりします。あと「Summer Dreams Come True」とか。なんだろう、小竹氏ならではの心の中にグッと踏み込んでくるあの感じ。ずるいやん、こんなん言われたら惚れてまうやろ的な言い回しや艶っぽさがあったりするんですよ。それがツボで憧れでもあって好きなんですよね。
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さて、そんな小竹さんが書かれた小説。「空に住む」とはどんな小説なのか。あらすじとしては、両親を亡くしてしまったことがきっかけで、愛猫と高層マンションに住むことになった直実の物語。直実は人と関わることに消極的で、例えるなら欅坂46の新曲「アンビバレント」の歌詞に出てるようなタイプの女性。勝手にイメージしているだけですけど、本書を読んだのとMVが解禁されて動画を見たのと重なったのもあって、すぐに思い浮かびました。
そんな孤高の彼女がどっぷり嵌ったのが溺愛する愛猫、そして誰もが羨むような悦びに満ちた不毛な恋愛。結果、心身共にズタボロになっていくわけです。
まぁ、といっても親の遺産で高層マンションに住めるわけですからね。五体満足の健康な体があって、働く必要がないくらいに資産もある。直実がどれほど心身共にズタボロになって傷ついてジタバタしたところで、結局は本人の心持ち次第でどうにでもなるというところに落ち着いてしまうわけでして。正直、直実に対して「可哀想」とか「気の毒」とかそういった感情に揺れ動くということはなく、淡々としている自分がいました。
ただ・・・綺麗ごとではなく女ってそういう所あるよねという、女心の根深い部分を率直に描かれていて、いいか悪いかは別として直実の心情や行動に対して理解できる部分はたくさんありました。積極的に人づきあいをする方ではないからそういった面は似ているかも。猫好きの方からすると胸が締め付けられるシーンがいくつか出てくるので、読むのがちょっと辛いかもしれません。
あとね、天空の城ラピュタの中でシータが言った「土から離れては生きられないのよ!」といったセリフを思い出しました。映画の中ではそのまんまの意味だけど、地に足をつけて自分を生きなきゃダメなんだなというね、教訓としてそんなことを思いました。
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この小説を題材にした「空に住む~Living in your sky~」という曲があって、本書にはそのCDも付いています。作詞はもちろん小竹さんで、歌っているのは三代目j soul brothers。ファンの間では、幻の名曲ともいわれてます。これもいい曲。(*^-^*)
言葉より皮膚の熱さは饒舌で独りがよくて孤独は嫌で (朝倉冴希)