辞書から飛び出た蝶などの昆虫が言葉を紡いでいる。そんな3D映像がパッと浮かびます。この歌が収録されている歌集「水葬物語」が出版されたのが1951年。デジタル要素を踏まえながら旧字体が使われているのがモダンで、めちゃくちゃお洒落な短歌。

 

そういえば、コチョウラン(胡蝶蘭)とかホタルブクロ(蛍袋)とか、昆虫の名前がついた花ってたくさんありますよね。ハチミツソウ(蜂蜜草)、ホタルカズラ(蛍葛)、スズムシソウ(鈴虫草)、マツムシソウ(松虫草) etc…。ハエトリグサ(蝿取草)、ヤブジラミ(藪虱)、ノミノツヅリ(蚤の綴り)なんてのも。ネットでちゃちゃっと調べただけでも、オオコチョウ(黄胡蝶)、タカネマツムシソウ(高嶺松虫草)といった、先に挙げた花と同じ科に属しているものなどいろいろ出てきますが、こうして新たに花の名を知っていくのも「ことばや文字を知り辭書から花の名をつづりだす」ことなのかもしれないとふと思った次第です。

 

そんな啓蟄の朝。