
【泳がせてみる】
脆いのはどちらでしょうか オーディションならはじまっている
見せかけと思わせないでとろとろと眠ってしまうベールをはがす
飽きるのに慣れてゆくほどまともなら仕方ないから勝手に泳ぐ
逃げられて正しいほうに向けられずそんなあなたの影ばかり追う
掬われて救われたままもう少しこのままでいて泳がせてみる
人と人のあいだには、 水面のようにゆっくりと揺れる境界があります。 触れようとすれば離れ、離れようとすれば追ってしまう。 その揺れは、どちらか一方の意思だけでは決まりません。
距離を取ろうとしても、影を追ってしまう。 受け身でいたはずなのに、いつのまにか働きかける側に立っている。 関係の向きは、思っているほど固定されていないのだと思います。「泳がせてみる」は、その揺れがどこで生まれ、 どこで反転していくのかを静かにたどる連作です。
noteでは、この連作を通して、ひとつの言葉が複数の立場から成立する構造について考えてみました。
