何年も前のことですが、友人から華道を習っていたことがあります。友人が懐妊したことをきっかけに教室はなくなってしまい、期間としてはとても短かったのですが、そのときの経験は今でも役立っています。特に正月花を生ける際に、その時の知識や感覚が自然と活きてきます。教室で蝋梅を生けたことがあったのですが、部屋中が甘やかな香りに包まれて「蝋梅ってこんなに香るんだ」と驚いたのをよく覚えています。蝋梅という名の通り、蝋細工のような質感がもともと好きだったのですが、香りと相まってより好きな花になりました。

 

ご近所さんのお宅にもちょうど蝋梅が咲いていて、ちようどウチの窓からも見えるのですが、この歌のように、蝋梅の美しさはやはり陽に透けたときが一番映えて美しいですよね。硝子のような透明感を感じさせます。そして「ひとつ火ともす」という最後のフレーズが、光を宿すように輝きを放ちながら、ひとつの命を燃やしていることを強調していて印象的です。