【Crossing of Water】

 

Endless microcosm

奇跡だと気づくことなく意思もなく放り出されて旅がはじまる

海なんてものは知らないはずなのに満ち欠けてゆく月を目指した

それはもう亡くした記憶  分かれつつ何かを聴いて何かに触れて

Endless microcosm   その先の星空を見る 君を見つけた

 

Snow globe

ひらめきは羽衣ぬいですべり込み照り返されてゆらぎ昇る香

温もりになれない snow globe   祈るとき鎮まりながら光る結晶

Janet’s Law   濃くなればいい   透明な時間の粒はゆったり降りる

 

Crossing of Water

Crossing of Water  ある半径の世界の中へ流れ込みゆく

出がらしの一歩一歩と希釈され上へ下へと花ひらかんと

効能は  Become a flow   ただ覚えていてと滲みだすエキス

嗅ぐときは執着せずに離れずに渋みの抜けるその日までいて

水に消す言の葉たちはいつしかも届くようにと大気に還る

 

 

 

Crossing of Water

── 水の循環から生まれた三部作
水は、内側から生まれ、閉じた場所にとどまり、やがて外へと流れ出していく。この連作は、水の循環になぞらえて構成した三部作です。

 

【Endless microcosm】

奇跡だと気づくことなく意思もなく放り出されて旅がはじまる

意思を持つ以前に始まる運動。海を知らないはずの存在が、満ち欠ける月に導かれるように進んでいく旅路のはじまり。分かれながら、それぞれの方向へと進み、やがて出会いへと向かいます。生命の内部で繰り返される、小さな循環。

 

【Snow globe】
ガラスの中に閉じた、小さな世界。結晶のような粒は、対流する水に揺れながら滞留し、やがてゆっくりと降りてゆく。私たちは静かにとどまりながら、それらを見ているのか、あるいは、見られているのかもしれない世界。

 

【Crossing of Water】
抽出され、希釈され、やがて大気へと還る。水は、形を変えながら巡っていく。

水に消す言の葉たちはいつしかも届くようにと大気に還る

水はそこで終わらない。また、どこかで巡り始める。この連作は、循環の「完成」を描くものではありません。水が巡り続ける途中、ひとつの断面を切り取ったものです。

 

 

この連作をどのような構造で組み立てたのか、なぜ中央に「Snow globe」を置いたのか、なぜ循環を完結させなかったのか。そうした設計については、noteにてまとめています。