【筒】

 

いましがた底意地を見た  頭上から「あなたも見る?」と筒を渡され

そう見えた気がしてぐるり回されて蟻がころがり絵柄はしなる

こんなはずだった世界で生きてきてガラクタばかり  ほれみたことか

屈折の三面鏡よ そのズレで琥珀めくもの塵かグリッター

 

幻の霧

未練でもあるのでしょうか 草陰で覗き見ているあなたはだあれ

あの方は夢を見ているはずでして月影にいてひそんでいるの

いつからか人待つ女なるものと噂話を耳にしました

何事も忘れられないものでして背比べしたあの頃のこと

面影を纏っておいでなのですね  つま先立ちでもしやもしやと

あの山を越えないうちに振り分けた髪もそろそろ伸びてきました

あれはそう幻の霧  幾年かどうやら夢を見ていたようで

 

六花

透過する六花のごとく降りしきる瑠璃のまんなか菊の連なり

するどさの角度がヒカリ丁子刃と光の筋がきめらく矢来

何重に見られてしまい切られてもいいと思える魚子つやめく

結界を踏み越えユラリ麻の葉の白き格子に酔わされるべく

朝焼けたカゴメカゴメの結び目は日差しを受けて八角になる

巣をなした蜘蛛の糸目は紫花にも亀にもみえてすかし素通し

八脚に銀の糸目が撓まれてこちらに向ける「あなたも見る?」と