九月(ながつき)のしぐれの雨の山霧のいぶせき我が胸誰を見ばやまむ 作者不詳
9月の時雨の雨で山が霧がかったように気が晴れない私の胸の内は、いったい誰を見たら晴れるのでしょうか
台風の影響もあって雨が降ったり止んだりのすっきりしない天候が続いています。最近でいうと、出勤時の朝に思わずおぉ~!!って言ってしまうほど辺りが真っ白な霧に覆われ、文字通り「五里霧中」のなか、いつもよりうんとスピードを落として慎重に運転しました。
ウチは山に近いこともあって霧がかった山はそれこそ見慣れるけど、それでも何度見ても水墨画みたいでとても美しいなと思います。今もちょうど雨が降っていて、窓の外には写真のような水墨画の風景が広がっています。万葉時代の先人もこんな風に9月の雨で霧ががかった山を眺めていたんでしょうね。時にはどうにも気が晴れなかったりもするというのも今も昔も同じ。掲出歌のような恋わずらいとかね。
苦しい胸の内を雲散霧消とすぐに晴らすことができるのは誰なのか。思い浮かぶ顔はいろいろあるけど、誰が何をどうこうしようと自分にそれを受け入れるだけの体制がなければ成り立たないわけで、そういう意味では自分自身なのかもしれないという結論に達しました。