wikipediaより

 

 

本多忠勝といえば、言わずと知れた徳川四天王のひとり。主君である徳川家康から「まことに我が家の良将なり」と絶大な信頼を寄せられていました。通称は平八郎。

 

「鹿角脇立」と呼ばれる黒の大きな鹿角の兜をかぶり、金色の大数珠を肩にさげ、手には「天下三名槍」のひとつであり「蜻蛉切」と呼ばれる鋭い槍。57回もの合戦においてかすり傷ひとつ負わなかったとの伝説があり、その風貌に違わず勇猛果敢な戦いぶりは「家康に過ぎたるものが二つあり唐の頭に本多平八」と言わしめるほどだったと言われています。

 

数々の武功をあげた圧倒的な強さと、「深きご恩の君を思えば」からもわかるように主君への忠義を貫く姿勢は、織田信長は「花実兼備の勇士」、豊臣秀吉からも「東の本多忠勝、西の立花宗茂」「東国(とうごく)に隠れなき勇者」と大いに称えられました。

 

いよいよ終盤に差し掛かったNHKの大河ドラマ「どうする家康」では、それほど有能であった本多忠勝の生涯にいよいよ終止符が打たれることとなりました。なので掲出歌を取り上げようと思ったわけですが、老いによる衰え、いわゆる「盛者必衰」がこの回のひとつのキーワードとなっていたからというのもあります。自分の中で老いというのは、あまりネガティブになりすぎないように、けれど現実問題としてしっかりと向き合わなければならないものであり、重石のようにずっしりと何かにつけて意識させられるテーマだから。

 

「死にともな嗚呼死にともな死にともな」他の誰でもない、主君・家康の恩義に報いるために。終焉という抗えない現実にどう向き合うかは、その人の生き様そのもの。

 

 

蜻蛉が出ると、蜘蛛の子散らすなり。手に蜻蛉、頭の角のすさまじき。鬼か人か、しかとわからぬ兜なり