「海の名前の家族」というのは、おそらくはサザエさん一家のことでしょう。調べてみたら、原作は1949年12月1日付で創刊された「夕刊朝日新聞」での連載が最初で、アニメが放送開始されたのは昭和44年の10月5日だそうです。

 

ずいぶん昔に図書館で原作を借りて読んだことがありましたが、やはり子供の頃に親しんだのはアニメ版でした。サザエさん症候群という言葉があるように、サザエさんが始まる夕方の時間帯というのは、明日からまた学校かぁと何とも言えない複雑な気持ちになったものでした。

 

サザエさん一家の人々は、連載から始まってもう何十年も日曜のいつもと同じ時間帯にそこにいて、声優さんは代われど歳を取ることもこともなく二次元の世界で日常を生きています。まさに「不変」をあれほど夢見ている「鬼滅の刃」の無惨様の理想郷がここにあるのでは?と、こうして書きながら思ったりします。

 

私たちは現実を生きていかなければならず、多かれ少なかれどこかで不安や予兆を感じているものだと思います。直接的な危機は今はまだないにしても遠雷のように漠然と。リアルを生きるとはそういうものだから。そして個々にどんな日常を送り、どんな不安を抱えていようと、サザエさん一家は二次元の世界でほのぼのと一家で食卓を囲みながら笑っていて、私たちはその現実を生きています。

 

そして、今日もまた、日曜のいつもと同じ時間帯がやってきます。(現在17時35分)