はちす咲くあたりの風のかほりあひて心のみづを澄す池かな
蓮の花の咲くあたりから風に乗って香りが漂ってきて、心の水までも浄化してくれそうな池だ。

 

昨日からは七十二候の第32候「蓮始開」

 

仏教では清浄の象徴とされており、泥水の中で育ちながらも、清廉な美しさだけを我々に見せる蓮の花。そこに存在しているだけで空間の邪気が払われるような気がします。蓮の花が香ることを「荷心香(かしんかんばし)」と言いますが、泥沼の深いところからも芽を出して花を咲かせる姿から、「どんな状況でも自分らしさを見失わない」という意味を象徴します。この象徴的な意味は、藤原定家のこの短歌にも影響を与えたのかもしれません。

 

ギリシャ語では「ロータス」と呼ばれ、蓮の花の香りはアロマや香水としても親しまれています。環境や気象条件によって多少異なるでしょうが、実際には蓮池で香りが風に乗って漂うということは少なく、よほど花に近づかないと香りを感じることは難しいかもしれません。

 

また蓮の葉は水を弾く性質を持っており、これは「ロータス効果」として知られています。