季節の移ろいを感じるとき、それは目に見える変化だけではなく、音や温度といった五感を通じた微細な違いからも伝わってきます。今年の立秋を迎えたとはいえ、依然として厳しい暑さが続いています。湿気を含んだ生暖かい風が肌にまとわりつくたびに、「うわぁ、風が生ぬるい」とつい口にしてしまうほど、この夏の暑さは例年にない厳しさを感じさせます。
それでも、ふと気がつけばツクツクボウシが競うように鳴き始めたり、夕方の風が少し涼しさを帯びるようになってきました。暑さの質も、単なる灼熱のようなものから、どこかに秋の気配を秘めたものへと少しずつ変わりつつあります。夕暮れに近づくにつれ、風にほのかな冷たさを感じる瞬間があり、夏の盛りも熱気が少しずつ引いていくのを感じます。
立秋の最終日となる今、暑さの中に潜む小さな秋の兆しはまだまだたくさんあるはずです。風がもたらす涼しさや、虫たちの鳴き声がわずかに変化する様子に耳を傾けながら、確実に近づいている秋の訪れを感じてみたいと思います。