駅前旅館
東西線7番出口すぐ脇に白地に黒く駅前旅館
踏み入ればあまたの靴と階段にオブジェのように並ぶスリッパ
もてなしは女将ひとりがやるらしく僅かながらに息は乱れて
ひと癖もふた癖もある内装はレトロなうえに床が傾く
やすらぎのすべてを与え得るように鎮座している羽毛布団は
「wi-fiは繋がります」と渡されたメモに手書きのパスワードあり
つきあたり洗面台のあるところ右に曲がれば共同トイレ
浴室の施錠にコツが必要とひょいと持ちあげ手本をみせる
出入りもチェックアウトもご自由に24時間いつでもどうぞ
何もかも揃って早稲田にも近く高田馬場は学生の街

 

 

たまには、自作の連作を。

 

わかる人にはわかると思いますが、これは実際にお世話になったことのある、ある旅館がモチーフになっています。昭和レトロな建物から漂うノスタルジックな空気が、どこか小説の舞台になりそうで、創作意欲をかき立ててくれました。そんな「空気」を、短歌に落とし込んでみたつもりです。短歌を基に、AIで画像を生成してもらったんだけど、どうやって階段を昇れば(笑)