「ガーデン」
あそこにもニラが自生しそのことにようやく気づく花の咲く頃
根絶やしにされないように刈り取られ側溝脇で枯れる夏草
またの名を月下美人と申します 彼とはそんな恋をしました
くたばったフリをしながらしなやかに身を翻すテントウムシは
「もう草は生えないからね」赤土をコンクリートで塞ぐガーデン
君に似たマーガレットが咲きました きっと元気でいることでしょう
以前、短歌連作サークル『あみもの』に発表した「ガーデン」という連作です。今読み返すと、もう少し違う構成にするなと思えてきたので、「凍てつかず慰みとなれ雪ならばふわりふわりと真綿のように」「アサガオが咲いているのは冷たさと闇の深さを知っているから」という2首を加えて、新たに組み直してみました。
「ガーデン」
根絶やしにされないように刈り取られ側溝脇で枯れる夏草
あそこにもニラが自生しそのことにようやく気づく花の咲く頃
またの名を月下美人と申します 彼とはそんな恋をしました
くたばったフリをしながらしなやかに身を翻すテントウムシは
「もう草は生えないからね」赤土をコンクリートで塞ぐガーデン
凍てつかず慰みとなれ雪ならばふわりふわりと真綿のように
君に似たマーガレットが咲きました きっと元気でいることでしょう
アサガオが咲いているのは冷たさと闇の深さを知っているから
導入から結びまで、「情景のグラデーション」がより滑らかになったように思います。昔の構成がギャラリーに並んだ7点の絵画のような印象だったとすれば、今回の再構成は7つの場面で編まれた短編映画のようなイメージです。連作という形式を活かすかたちで、このような構成にしてみました。
きっと元気でいることでしょう……そして、マーガレットの春からアサガオの夏へ、季節は巡っていきます。