写真の場所はかつては葦原でした。
秋から冬にかけてすっかり枯れてしまった葦原が、暖かな気候になるにつれて新しい葉が顔を出しだんだんとまた蘇っていく・・・。そして、初夏になれば風になびく緑の葉がさざ波のようで、私はその美しいさざ波を見るのが大好きでした。
そのかつて葦原だった場所にはところどころ笹が混ざっていたのですが、それがあれよあれよと葦を侵食していき・・・。今では葦のほうが圧倒的に数が少なく、いつの間にやら葦原は「笹原」となってしまいました。笹ってこんなにも繁殖力が強かったのかと驚かされるばかり。
風に揺れてもたおやかさに欠ける笹が成長する度、遠のいてしまった“さざ波”を恋しく想う自分がいます。