百日紅(サルスベリ)の幹は、すべすべと滑らかで美しい質感を持ち、その特徴から「猿も滑り落ちる」と喩えられるほどです。そして「咲きて久しき」とあるように、花期が長いことから「百日紅」とも言われています。忙しい朝の時間でも、ひらひらと舞うように咲く華やかな花が咲いていると一際目を引きます。

 

また、百日紅には朝鮮半島に伝わる切ない伝説があります。ある村に住む娘が龍神への生け贄にされようとしたとき、たまたま通りかかった王子が彼女を救い、二人はやがて恋に落ちました。しかし、王子は村を離れざるを得ず、「百日後には必ず戻る」と約束して旅立ちました。ところが、約束の百日後に王子が戻ったとき、娘はすでに亡くなっていました。娘の墓の上には一つの木が生え、やがてその木は花を咲かせました。その花は、愛しい人を待ちわびるかのように百日間咲き続けたといいます。この悲恋物語から、「あなたを信じる」という百日紅の花言葉が生まれました。

 

一般的に百日紅の花は、開花時に淡い色から始まり、時間が経つにつれて色が濃くなる傾向があります。開花後に色が薄くなるか、色が変化しないまま枯れていく種類が多い中で、咲いている間に色が濃くなるという特徴は珍しい部類に入ります。百日紅の好きな所の一つなのですが、時間と共に深まる愛や信頼を象徴しているかのようで、「あなたを信じる」という百日紅の一途さを信じたくなります。