よく通る明るい声で見本のような挨拶をし、誰に対しても同じテンションで感じよく接する彼女は、ポニーテールがトレードマーク。「ポニーテールがただしく揺れる」にビビッときたのは、まさしく彼女のことを思い浮かべたからでした。もちろん「感じがいい人」というのはたくさんいますが、彼女のようにいつ何時、誰に対してもブレのない挨拶をする人を、私は見たことがありません。
彼女の明るさは、単なるテンション高めの明るさとはまた違う朗らかさを持っています。感情が出やすい私があのようにしようと思ったら、心のギアを一段階も二段階も上げなければならず、すぐに元に戻ってしまいます。彼女がそれをフラットにやっているかといえば、そうとばかりは言えません。辛いことや悲しいことだってあるでしょうし、体調がすぐれないことだってあるはずです。それでも表面上はあくまで朗らかなテンションを崩さず、ポロっと愚痴をこぼすことはあっても感じよく接してくれます。心の底から凄いなと思います。とても真似できません。そんな彼女の存在に、私はずいぶんと救われてきました。彼女の明るい声を聞いて、思わず心が軽くなったことはこれまで何度もあります。
私が彼女のことを思い浮かべたのにはもうひとつ理由があります。誰に対しても模範的であるが故に、彼女の心の内に踏み込むことができないからです。彼女の完璧に正しい態度には尊敬の念を抱く一方で、その裏に隠された本音や感情に触れることができないというもどかしさも感じます。それは知る必要もないことなのですが、向けられた優しさや笑顔の裏に隠された本心や本音があるのではないかという不安を抱いてしまいます。「私にも優しい」というのは、その優しさに隠された本心への疑念が含まれているのではないかと思うのです。
彼女のように完璧な態度を持つことは、私にはとても難しいことです。しかし、その姿勢には学ぶべき点が多くあるのは確かです。彼女の明るさや優しさは、私自身の指標でもあります。