長き夜の遠の眠りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな
なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねの おとのよきかな

長い夜が過ぎ、深い眠りから皆が目を覚ます。波乗り船の音が心地よく響いてくるから。

 

この歌は、前から読んでも後ろから読んでも同じになる「回文」の一種で、最も有名な回文短歌のひとつです。年始の夜に、七福神を乗せた宝船の絵に添えられていることが多く、古くから日本人の心に親しまれてきました。特に、1月2日から3日にかけての夜、宝船の絵に書いてあるこの短歌を唱え、枕の下に敷いて眠ると、吉夢が見られるという伝承があります。

 

七福神が乗った宝船が、波の音に乗せて幸せな夢を運んでくれますように。そして、新しい年が皆さまにとって幸多きものでありますよう、心からお祈り申し上げます。