なぜ「新潮文庫」なのだろう。最初のこの疑問から、本についている「スピン」と呼ばれるあの紐は、現代では新潮文庫の本にしかついていないことを知りました。

 

そしてもうひとつ知ったことといえば、「天アンカット」にまつわるこんな話。「天アンカット」というのは、「天小口」と呼ばれる本の上部をわざと切り揃えない手法のこと。ギザギザして不揃いなうえにコストも手間もかかるのですが、そこには本へのロマンが隠されていることを知って感動を覚えたのです。

 

元来ヨーロッパの製本は「フランス装」といい、紙を折ったまま閉じる形になっていて、ペーパーナイフで切ることで読むことができるようになっていました。それで、読み終わったら自分好みの豪華なものに製本し直すという風習があったそうです。「天アンカット」はそのなごりというわけです。

 

新潮文庫は、「スピン」同様に「天アンカット」にもこだわっているのだとか。 (ていうか、スピンを挟むことで天小口の裁断ができない (;^ω^))

 

へぇ・・・。そんなことを知って、ウチにある新潮文庫の本を思わず手に取ってみると・・・。ホントだ・・・。スピンもちゃんとあるし、すべて天アンカットになっていました。

 

 

 

裁断してある下の部分と比べると、その違いがよくわかります。お手元に新潮文庫の本があれば、ぜひ手に取って確かめてみてください。あっ、あとね。挟んである「紐」が本当に甘いような気がして、思わず舐めてみたくなりました。(;^ω^)

 

 

kindleもいいけど、アナログにはアナログなりのノスタルジアな奥深さがある・・・。おそらくは愛書家である主体が、騙されたと思ってこっちの世界へおいでよと誘っているそんな歌のように感じます。