人となりがわかっているように思える身近な人でも、私の知らない彼らの物語がそこにあり、また私の物語を彼らがすべて知っているわけではありません。本当にその人のことがわかっているかといえば疑問です。
この人はこういう人だと決めつけてしまいがちだけど、見ているのはその人のほんの一部分。誰もが人知れずに内情を抱えていて、それは見せていないだけで、見えないところで傷を負っていたりもします。
同じように、道行く人それぞれにもそれぞれの物語。テレ東系列の「家、ついて行ってイイですか?」とかさ。テレビをつけるとたまにやっていて、観ているといろいろあるんだなぁと思ったりします。
それぞれのスピンオフがないがしろにされていいはずもないんだけど、他人にとってみればしょせんは他人事なわけで。けれどやっばりそれぞれにとっての大切なそれぞれの人生。
余裕をなくしがちな今の時代だからこそ、今最も求められているのは、表面的なところではわからないそれぞれのスピンオフに目を向けるような想像力や思いやりなのかもしれません。
誰もが四六時中正しくいられるわけではないし、必ずしも自分が正しいわけでもないということ。言動の背景には一筋縄ではいかない事情や感情が複雑に絡みついているということ。そこにふと立ち返らせてくれる一首です。