7日間で突然頭がよくなる⁈・・・そんなんで頭がよくなるなら苦労しないし・・・と思いながら、どんなことが書かれているんだろうと興味本位で手に取ってみたのが本書。

 

ここでいう「頭がいい」というのは、物事の本質をつかめる人のことをいいます。では、その頭のいい人がどのような思考で本質を捉えているのかといえば、哲学的な思考であると本書では解説しています。

 

物事の本質をつかむためには一辺倒な見方ではなく、様々な方向からあらゆる可能性を探る必要があります。では、どうやってそれをすればいいのか・・・そこで登場するのが哲学です。いきなりの「哲学」の登場に少々めんくらったのですが、考えてみれば「哲学」とは思考そのものなのですから納得です。

 

「幸福とは何か?」

具体的な内容に入っていく前に、このように問いかけられます。いかにも哲学的ですよね。

 

哲学的な思考というと何やら小難しく感じられますが、どのように物事を捉えて考えていけばいいのかという具体的な方法論。それがここでいう哲学的思考です。まず、ざっと哲学の歴史を学んだうえで、哲学的な思考にはどのようなものがあるのか学んでいきます。

 

で、最終的には「幸福とは何か?」みたいな問いを、キャッチーな一文で表現できるように落とし込んでいくのが本書が掲げている目標です。

 

 

物事の本質を掴むための哲学的な思考とはどういったものなのか。大まかですが健忘禄を兼ねてざっと挙げてみます。

 

物事の本質を掴むための10のカギ

  • カテゴリー・・・色、質、形状、種類etc・・・様々なものにカテゴライズしてみる。
  • 主観と客観・・・何が何に対してどうしたのかという事実を確かめる。
  • 時間と空間・・・時間を量として思い描く(時間配分の逆算) 時間感覚は人によって違うことを考慮する。
  • イデア・・・イデアとは物事の本当の姿のこと。表に出ていることが本当とは限らない。1つの情報を鵜呑みにせず情報源を増やし真の姿を認識する。
  • 運動として捉える・・・物事とは変化していくもの。時間経過とそれに伴う変化を考慮に入れる。
  • 弁証法・・・マイナスをプラスに変える方法を考える。
  • 差異として捉える・・・同じものだと一括りにされがちなAとBをあえて別の物だと切り離し、その差異に着目する。
  • 構造主義・・・木を見て森を見ずではなく、全体的な構造の中で物事を把握する。
  • 因果関係・・・原因があって結果があると認識し、原因と結果の関係で捉える。
  • 人間にとっての意味・・・人間にとってどのような意味があるのか考える。

 

軸となるこれらにプラスアルファでもう20の思考、そしてこうして導き出したいつくも答えをまとめてキャッチーな一文にするためのコツが解説されています。

 

例えばですけど、仕事を覚えようとする時。ただ盲目的にやるべきことを記憶するより、視野を広げて全体的な流れを把握しながら何のためにどういう目的でやるのかを考えながらするのとでは理解のスピードは格段に違ってきます。本質を掴むとはつまりこういうことなのかなと思います。

 

7日間で本当に頭がよくなるのかとかそういうことは人それぞれだと思うけど、こういう論理的思考は身に着けたほうが絶対に得だと思うので読んで良かったと思える価値のある一冊でした。