夏至ですね。

 

夏至のひかり胸にながれて青年のたとふれば錫のごとき独身 塚本邦雄

一日が過ぎれば一日減つてゆく君との時間 もうすぐ夏至だ 永田和宏

昼顔の群生踏みてゆくときを人世しづけく夏至いたりたり 雨宮雅子

なまぬるき論よ恥じつつくれないの切手を嘗める夏至の日の舌 佐々木幸綱

 

なんとなく集めてみた夏至の短歌。

 

 

夜が最も短い日ですが、そんな中で蛍がほわ~んほわ~んと飛んでいます。

 

源氏物語「蛍」より。

光源氏36歳の5月の話。

五月雨の頃、兵部卿宮から玉鬘に文が届き、源氏はそれに返事を書かせた。喜び勇んで六条院にやってきた兵部卿宮の前で、源氏は几帳の内に蛍を放ち、その光で玉鬘の姿を浮かび上がらせて見せた。予想以上の美しさに心を奪われた兵部卿宮は想いを和歌で訴えるが、玉鬘はつれなくあしらうだけだった。(この逸話から、兵部卿宮は蛍宮、蛍兵部卿宮等と呼ばれる)

 

鳴く声も聞こえぬ虫の思ひだに人の消つには消ゆるものかは 兵部卿宮 

鳴く声も聞こえない蛍の想い(灯)は、人が消そうとして消えてしまうものなのだろうか。
(いや、消えはしない。この私の恋の炎も決して消えることはない)

声はせで身をのみ焦がす蛍こそいふよりまさる思ひなるらめ 玉鬘
声を出さずただ身を焦がしす蛍の方こそ、愛を口にするあなたよりも想いは深いのでしょう。

 

こういう凜とした女性好きだな、私は。

 

本当はもっといろいろ掘り下げるつもりだったけど、若干まだやることがあるので今日はこのへんで。

 

それでは、また~。