コロナ対策のため、病院の待合室等では雑誌や本が次々と撤去されていきました。あらゆる指を待つ本のイメージとして、私は図書館の本棚を思い浮かべたのですが、今は多くの図書館が休館を余儀なくされています。

 

やむを得ないこととはいえ、本にとって幸せであるはずのたくさんの指に触れられることが、人間にとってはなるべく避けなければならない現状に物悲しさを感じます。

 

病院の待合室にある本にしろ、図書館の本にしろ、本来はたくさんの指に触れられてなんぼ。「あらゆる指を待つのでしょうね」には、「次はどんな人が手に取ってくれるのだろう」という期待や希望が込められているはずなのにね。

 

 

時代背景によって捉え方や感じ方が変わってしまうこともある・・・。それが言葉の宿命ならば、「あらゆる指を待つのでしょうね」に抱いてしまった心のざわつきが、いつかまた消えてくれることを願います。

 

本は今、どんな気持ちであらゆる指を待っているのでしょうね。

 

 

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