2012年の本屋大賞となった、三浦しをんさんの作品。

 

舞台は、玄武書房という出版社の辞書編集部。辞書に魅せられ、辞書ひとすじに人生を捧げてきた荒木公平。もうすぐ定年を迎える彼は、自身の後継者となりうる人材を探していたのですが、そこで見出されたのは営業の一風変わった馬締光也という男。

 

荒木のスカウトを受け、辞書編集部にやってきた馬締を中心に物語は進んでいきます。

 

 

「きみは、『右』を説明しろと言われたら、どうする」

これは荒木が、馬締の才能を認めるキッカケとなったセリフ。荒木の問いに対し、馬締は「ペンや箸を使う手のほう」と言うと、左利きのひとを無視することになるし、「心臓のないほう」といっても心臓が右がわにある人もいると指摘しています。

 

こんな風にあーでもないこーでもないと、ひたすら言葉と向きあい新たな辞書『大渡海』の出版に向けて、奮闘していく辞書編集部一同。膨大な単語を編み込み、限られた枠の中に収めていく編纂の他にもやるべきことや課題は山積み。辞書を出版するのは、こんなにも大変なことなのかと勉強になりました。

 

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自分のことを振り返ってみると、最近はネットで検索するばかりであんまり・・・どころかほとんど辞書って引いていないんですよね。

 

なんでもかんでもすぐにネットで検索。便利だからついついそうしちゃうけど、簡単に調べられてしまう分、すぐに忘れてしまいがちで身になっていないことが多いかも。たまにはゆっくり時間をかけて、辞書を引いてみるのも大切なのかもしれないですね。

 

あの紙をペラペラと捲る感触・・・嫌いじゃないです。

 

 

・・・そうそう。

 

辞書に用いる紙へのこだわりについても、いろいろと書かれています。辞書の紙というのは、指に吸い付くようにページが捲れ、複数のページが同時に捲れることのないのが理想で、こういう質感のことを「ぬめり」と言うらしいです。

もし辞書を引く機会があれば、ぜひこの「ぬめり」もチェックしてみてください。o(^-^)o