wikipediaより

 

小説家として名の知れた太宰治ですが、こういった短歌も詠まれていました。パナビール中毒で入院していた当時の手記をまとめた「HUMAN LOST」にも収録されている一首です。

 

太宰と同じく患者として入院していた医師・斎藤達也氏から借りていた聖書の見返しに、太宰が書き記したものでした。滅びの美学を体現したような激しい生き様で知られている太宰。

 

酒に女におぼれて、自分を痛めつけるようにして身を滅ぼしていく一方で、差し出された一冊の聖書に「人のなさけの身にしみて」とまなこをうるませる・・・。不思議な人です。

 

掲出歌とシチュエーションなどは全く違うのですが、太宰の待つ子供のような純真さは「美男子と煙草」 にもあるこんなエピソードとどこか重なりました。

 

ある日、酒を呑んでいたところ、年上の文豪たちに絡まれて悪口を言われてしまった太宰。その場では耐えて受け流してたものの、家に帰って悔しさのあまり妻の前で「ひとが、ひとが、こんな、いのちがけで必死で書いているのに・・・」と、おいおい泣いてしまったのだとか。

 

何度も振り回されながらも許容してしまう、何とかしてあげたいと思わせてしまうのは、時折見せるそんな無垢な素顔にやられてしまうのかもしれません。女性がコロッとまいってしまうのもわかる気がします。

 

 

宿代を届けてくれた友人とその金で豪遊し、宿代が足りなくなれば「金を借りてくる」とその友人を宿に残して、自分だけさっさと東京へ帰ってきてしまう・・・。あげくに、詰め寄られれば「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」といけしゃーしゃーと言ってのける・・・。

 

いい加減にしろよと言いたくなるようなことを平然とやっておきながら、それでもなんだかんだと愛される人っているよね。 (;^ω^)

 

 

※ 太宰作品に触れてみたいという方は、ぜひ「太宰ミュージアル」のHPをチェックしてみてください。「太宰Web文庫」というタグからここから冒頭から終わりまで太宰作品のすべて読めるようになっています。