「正直者がバカを見る」というのはあってほしくないことですが、現実をみれば真面目にやっている側が損をしてしまうこともありますよね。
世の中には、“仕事しています”というポーズはとるものの、面倒ごとを周りに押し付け要領よく立ち回る人がいるものです。
しなくてもいいことを無駄にする必要はないですが、やるべきことをきちんとしないで自分だけ楽をしようとするのは困りものです。そして彼女は、そういう人のずるさを見過ごすことができず、おかしいことはおかしいとまっすぐに主張するタイプの人間でした。
ずる賢い人というのは腹の中でどう思われていようと、その上でちゃんと自身に影響が及ぶまでの許容範囲というものを熟知し、そのあたりのバランス感覚がものすごく優れています。正義感の強い彼女は、そんな中で真正面からバンッとぶつかっていき、そして去っていきました。
この短歌の“蜘蛛”には2つ意味が込められています。
ひとつは、「正しさを曲げない君」を陥れようと狙っているという意味。もうひとつは、それでも“正直者”はバカを見るだけではなく見ている人はきっと見ていていて芥川龍之介の“蜘蛛の糸”のごとく救いがあるという意味です。