本日は、連歌の文学的地位を確立させた立役者である二条良基の命日にあたります。連歌とはなんぞやと言いますと、575の上の句と77の下の句の合作(短連歌)、あるいはは複数人で読み連ねたもの(長連歌鎖連歌)をいいます。

 

二条良基は、師匠である救済の協力を経て撰集された最古となる連歌集「菟玖波集」を完成させたことで知られています。また「連理秘抄」「撃蒙抄」「筑波問答」「九州問答」「十問最秘抄」といった連歌論書を執筆、「応安新式」という連歌式目、いわゆる連歌のルールガイドを制定しました。

 

月は山風ぞ時雨に鳰の海 二条良基

これは、良基主催による連歌会が近江石山寺にて行われ、そのときに詠まれた連歌をまとめた「石山百韻」の発句。能の演目「三井寺」にも引用されています。鳰の海とは琵琶湖のこと。

 

 

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人住まぬ不破の関屋の板廂荒れにしのちはただ秋の風 藤原良経

その昔、岐阜県不破郡関ヶ原町に「不破関屋」と呼ばれる関屋がありました。寂れたその関屋から眺める月が風流であると噂を聞きつけた良基は、さっそくそこへ向かうことにします。関屋の主人は慌てて屋根を修理するのですが、そのことを知った良基は落胆して引き返してしまいます。のちにその坂は「車返しの坂」と呼ばれるようになりました。