是枝裕和監督の「万引き家族」といえば、カンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」を受賞したことですっかり話題となりました。

 

あらすじ

東京の下町に暮らす、日雇い仕事の父・柴田治とクリーニング店で働く治の妻・信代、息子・祥太、風俗店で働く信代の妹・亜紀、そして家主である祖母・初枝の5人家族。家族の収入源は初枝の年金と、治と祥太が親子で手がける「万引き」。5人は社会の底辺で暮らしながらも笑顔が絶えなかった。

冬のある日、近所の団地の廊下にひとりの幼い女の子が震えているのを見つけ、見かねた治が連れて帰る。体中に傷跡のある彼女「ゆり」の境遇を慮り、「ゆり」は柴田家の6人目の家族となった。

しかし、柴田家にある事件が起こり、家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれの秘密と願いが次々に明らかになっていく。

 

 

「万引き家族」とあるように、この映画に登場する“家族”は犯罪で生計を立てている特殊な“家族”。

 

是枝監督曰く「犯罪でしか繋がれない家族」であり、仲が良さそうにみえてもその関係性は絡まって持て余す糸のように複雑。その糸は無理やり解きほぐそうすれば、たちまちプツリと切れてしまうほど脆く儚い糸。そんな脆い糸で繋がれた家族。それが「万引き家族」の柴田家。

 

どんなに優しくされたり笑顔でいられても、後ろめたいことをすることでしか存在意義を見出せないとしたら、やはりそれは“健全”とは言い難いです。

 

・・・でも、どうなんでしょうね。

 

犯罪は犯罪だから、そこはケジメとしてきちんとするべきなのはもちろんなんですけど、それは前提としてなんですが。

 

家族としてつつがなく笑顔で暮らしていた彼らを、あなたはここにいるべきじゃないと引き裂いて、世間でいうところの“健全”にもっていくことが果たして正義なのでしょうかね。映画はそのことをずっと問いかけているように思いました。

 

“健全”でなければきちんとした関係性は築けないと思っています。でもだからといって、(社会的にみて)それぞれいるべき場所へ散っていかなければならない、それが“健全”への唯一の道とも思えないんです。償うべき罪はきちんと償い、受けるべき教育はきちんと受けさせ、離れ離れにならずとも本当の意味で笑って暮らすことだって可能なんじゃないかと思ったりしてね。

 

***

 

あとはね。柴田家のなんていうか・・・言葉悪いけど、ゴミ屋敷ばりの雑多な感じとかとにかくリアルに作り込まれていて、映画に対する真剣味がそこからも伝わってましたね。とくに風呂場ね。

 

役者陣も素晴らしかったです。特にハリウッド女優のケイト・ブランシャットさんが大絶賛した、安藤サクラさんの泣きの演技は必見ですよ。「静」か「動」かと問われれば「静」なんだけど、これが噂の!!とすぐわかるぐらい凄みがあって思わず見入っちゃいました。

 

城桧吏くんのイケメンぶりも要チャックでっせ。(^_-)-☆

 

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公式サイト
是枝監督のインタビュー記事

 

 

まっとうな僕でいられるぐらいには必要だから愛もお金も 朝倉冴希