若葉が芽吹き、鮮やかな葉の黄緑がだんだんと深まってくると小さな実をつけ、やがて葉が次々と散っていくのと対照的に実は大き気づきくなって朱色に色づいていきます。そして秋が深まる頃、葉を落とした柿の木に一つだけ残る真っ赤な実を見かけることがあります。収穫の時期になると、木守りとして一つだけ実を残す風習があり、ひとつだけ残されているその実の朱色は目につきやすく、ポツンと残されて寂しそうでありながら気高くもあります。まさに今日のような青空の下で見る柿の朱色は、静澄な空気に孤高に浮かび上がるようです。
朱色は暖色ですが、青空の寒色と対比することで、どこか冷たくも感じられるのが不思議です。その一方で食卓では、家族の団欒や部屋の温もりだったり優しい照明の影響などで温かみをより強く感じられます。同じ色でも環境によって全く異なる印象を与えるのが面白いところですね。「柿の朱は不思議なる色」柿の産地ということもあり、毎年のように見ている光景であり、季節の移り変わりを感じる瞬間でもあります。それだけに食卓に柿が並ぶのは、毎年の楽しみのひとつです。
今年はカメムシの被害が甚大だそうで、スーパーの売り場でも注意書きが見られるほど。それだけ影響が大きかったみたいですね。そのような中、比較的被害が少ない貴重な柿をいただきました。カメムシにやられた痕跡があるものの、美味しい柿をお裾分けいただけるのは、本当にありがたいことです。自然の恵みと、それを届けてくれることのありがたさに感謝しながら、秋の味覚を堪能しました。