この地方では、今年は2月10、11日に行われる鬼祭が過ぎるとようやく寒さの峠を越えるとも言われています。国の重要無形民俗文化財にもなっていて、最終的に見物客が粉まみれにされるというなかなかの奇祭。関東でも雪が降った10日は寒かったですが、今年は鬼祭前後にしては珍しいほどあたたかく過ごしやすいです。

 

それほど寒くもなく、体感的にはまだ花粉も飛んでいなく、虫もいないしというわけで、山道を歩くにはまさに好条件。というわけで、ここぞとばかりによく散歩へ出かけています。アインシュタインといえば相対性理論ですが、社会人ともなれば誰かが勝手に時間を早回してるんじゃないかと疑いたくなるほど慌ただしいときもあって、自然豊かな場所はなんでこんなにも時間がゆったり流れるのだろうかと不思議な気がします。

 

滅多に人が来ないとっておきの場所まで、自生している椿を愛でながら。

 

写真を撮るにしてもいつもなら別の場所を撮るんだけど、なぜだか気が付くと吸い寄せられるように椿ばかり撮っていました。爛漫なのもいいけど、山にひっそりとぽつぽつと咲く椿も、これはこれで侘び寂びの美しさがありますね。

 

 

たった一輪だけ咲いている椿。

 

千利休が豊臣秀吉をもてなすため、茶室の一輪だけを残して庭のアサガオをすべて切ってしまったというあの逸話を思い出します。そんなわけで、椿を前にして私の脳裏に浮かんだのは、アインシュタインではなく千利休でした。