今年の季節の移り変わりは、まるで駆け足で進む物語のように感じられました。猛暑の日々が長く続いたかと思えば、急な気温差が追い打ちをかけ、秋らしい穏やかな気候を十分に楽しむ間もなく、気がつけば冬の入り口に立っているような。そんな慌ただしい季節のリズムの中で、このまま快晴が続くかと思いきや、ふと気が付くと曇天が広がっているなんてこともしばしばありました。「曇天を今日の服で飾って」という一節には、そんな曇り空の日でも、自分らしさで日々を彩ろうとする前向きな心が感じられます。
私のワードローブもそうですが、冬になるとどうしても黒っぽい服が多めなってしまいがちなんですよね。なので直感的に「曇天を今日の服で飾って」に、曇天に映えない色を選びがちであることに若干の後ろめたさみたいなものも感じてしまったのですが、よくよく考えるとこの歌は単に服装のことだけではなく、もっと広い意味で無彩色な日々にどう向き合うか、どんな心持ちでいられるかを問いかけているような気がします。
赤やオレンジ、マスタードイエローなどの鮮やかな差し色を取り入れるように、季節の急激な変化やその影響を受けながらも、自分らしいスタイルで季節の移り変わりを楽しむことを忘れてはいけないというメッセージが込められているのではと思うのです。
曇天を飾るとは、日々の無彩色な瞬間や曇りがちな心にそっと差し色を添えること。たとえそれが小さな工夫や気持ちの切り替えであったとしても、その瞬間の積み重ねが鮮やかな彩りをもたらしてくれるのだと、この一節が教えてくれる気がします。