春の長雨という言葉がありますが、ここ最近はずっと晴天が続いていました。久しぶりの雨が降っています。薔薇の季節にはまだ少し早いこの時期。やわらかな春雨。そんな日は掲出歌を思い浮かべます。

 

よく「くれなゐ」を、花色と解釈されることもあるのですがそうではありません。薔薇の新芽の色を指しています。2尺(60cm)ほど伸びている薔薇のシュートから赤い新芽が出ている・・・というのがこの歌。「やわらか」は、まだ小さくやわらかな棘と、やわらかな春の雨という両方に掛かっています。

 

棘をやわらげるような春雨と、掲出歌の持つ「やわらか」な雰囲気がとても似ていると私には感じるんです。はじけるような若葉のフレッシュさよりももっと手前の、生まれたての赤子をそっと見守るようなやわらかさ。

 

“針”さえも包み込むようなやわらかさが、心のトゲトゲも包む込んでくれるかのようです。

 

 

薔薇に限らず、春になればいろんな植物がシュートを伸ばし、そこから瑞々しい若葉が顔を出しますよね。〇〇が生えてきたとか見ると、うわぁと無駄にテンションが上がる人なので、そういうの見るのがすごく好きなんです。

 

毎年のことなんだけど、そういうの見ると嬉しくなるんですよね。なんででしょうね。生命の息吹が感じられるからかな。