実りの秋が訪れ、栗や芋の風味が広がる季節になりました。 ショーケースやお菓子売り場を覗けば、栗や芋を使った商品はもちろん、ハロウィンを意識した限定スイーツが並んでおり、季節の移り変わりを味覚でも感じることができます。 暖かい色合いに彩られた売り場を歩きながら、企業の巧みな販売戦略に乗せられていると知りつつも、季節の演出にあえて乗ってみるのも楽しみのひとつです。
そんな表層的な秋の豊穣と、そのすぐ横に潜む「ひとの死にやすき」という陰りとの落差。秋とは実りの季節ではありますが、自然も枯れゆく終焉への入り口でもあり、木々が紅葉すれば美しくもあり、落葉が始まる様子は同時に無常の象徴でもあります。商業的な豊かさに包まれつつ、「何かが終わりに近づいている」という感覚が忍び寄り、秋とはそういう無常で溢れています。
秋の実りを味わいながら、その向こうに広がる儚さまでも感じるような側面が、秋の魅力をより深くしているともいえます。そういえば、地元なのでいつでも行けると思っていたモンブランの店が、いつの間にやら閉店になっていたことを思い出しました。結局、そのお店には行けずじまいでしたが、これも諸行無常のひとつですね。