自閉症の人って、なんでいきなり奇声をあげたり、すぐどっかに行っちゃったり、何度も同じことを言ったりするの?

 

重度の自閉症患者である著書の東田直樹さんが、自閉症患者の視点からその疑問に答える形で、自閉症患者が何を考え、どのような物事の捉え方しているのかを解説しています。

 

一見、不可解に思える行動の裏にある彼らなりの理屈や理由、自己表現の手段がわからなかったり上手くいかないことへ戸惑いや不安苛立ち、脳の機能障害によって引き起こされる突発的な衝動が抑えられないとはどういうことなのか。

 

読んでいくと、特に“感覚的な部分”では、まるでロールプレイングゲームの中に迷い込んで実際に体現しているかのような、それくらい臨場感のあるリアルな表現されています。

 

いくら自閉症に理解や知識があるといっても、この“感覚的”な部分は自閉症を患っている著者だからこそ伝えられるものであり、自閉症を理解するうえでは他のどの専門書より彼の著書は参考になると思います。

 

もちろん自閉症といっても千差万別で、著書に描かれていることすべてが他の自閉症の方に当てはまるとは限りませんが、ひとつのサンプルを投じたことは、自閉症の理解を深めるうえでものすごく意義のあることだと思うし、その功績は多大なのではと感じます。

 

クエスションに対し、こうだからこうなると答えを的確かつ明確にしているのと、描写もあまり抽象的すぎず、あくまで素直な言葉で綴られているので読みやすいし、わかりやすいのも個人的には魅力でした。