どこまでが空かなんて意識することはそうなかったけど、確かに!と思わず頷いてしまう一首。奥村氏といえば、ひねりのないそのまんま詠む「徒言歌(ただこと歌)」の第一人者。言われてみればの気づきを与えてくれる独特の […]
「今日の短歌」の記事一覧(8 / 42ページ目)
【今日の短歌】新しき黒もて黒を塗りつぶす分厚くわれの壁となるまで (大西民子)
生きていれば大なり小なり壁に直面するものだけど、授けられたものが平等でもなければ、理不尽に立ちはだかることだってあり、その度に完膚なきまでに“われの壁”として受け入れるのはとても難しいことです。   […]
【今日の短歌】十余年わが書きためし草稿の跡あるべしや学院の灰 (与謝野晶子)
2023年の今日は、1923年(大正12年)に発生した関東大震災からちょうど100年目にあたります。 小林天眠の依頼で受けていた、源氏物語全般にわたる現代語訳を含む源氏物語の講義の執筆に取り組 […]
【今日の短歌】ジャポニカの学習帖がひしめいてサファリパークのごとき教室 (伊波真人)
「ジャポニカの学習帖」といえば、大日本百科事典ジャポニカのタイアップ商品として販売された学習ノート。表紙を飾っている動植物の写真はインパクト大で、それこそクラスのほぼ全員が持っていた気がします。もちろん私も […]
【一口日記】夏らしい景色
8月下旬の今でこそ変わりやすい天候が続いているけど、7月はカラッと晴れた日が続いていて、なんだか夏を思い出した気がする。真っ青な空に浮かぶ白い雲。新海誠監督の映画のように、景色がワントーン明るくて。あぁそういえば夏ってこ […]
【今日の短歌】生者なるわれにまだまだ幾人(いくたり)も生者は絡み お墓を洗ふ (片岡絢)
生きているうちはこの先も幾人の生者と絡むことになり、生者の私がここにいるのは、過去の生者である幾人のご先祖様がいたからなんですよね。至極当然の摂理だけにわかりきっているつもりだったけど、先日お墓参りにいった […]
【今日の短歌】嫁として帰省をすれば待ってゐる西瓜に塩を振らぬ一族 (本田真弓)
西瓜に塩を振らぬ一族の中にいて、嫁の立場である主体がそのことにどのような思いを抱いているのか。一切書かれていないその隠されたメッセージを汲み取ることで、いくらでも物語ができそうです。物語はあくまでも憶測や妄 […]
【今日の短歌】会えぬものばかり愛した眼球の終のすみかであれアンタレス (佐藤弓生)
夏の夜空を眺めれば、まずはわかりやすい夏の大三角形と蠍座を見つけるのですが、蠍座のちょうど心臓部に赤みがかった神秘的な星があります。「サソリの心臓」とも呼ばれる赤色超巨星のアンタレスです。 大 […]
【今日の短歌】言葉から言葉つむがずテーブルにアボカドの種芽吹くのを待つ (俵万智)
マンゴーの種を育ててみたら、根っこがちょろっと出てきました。SNSなどを通じて、俵万智さんがアボカドを種から育てているのを知っていて、マンゴーの種を育ててみようと思ったきっかけのひとつになって […]
【今日の短歌】すきまなくしげれる蓮の葉の池にぬきいでて立ちひらく蓮の花 (岡麓)
岡崎市・伊賀八幡宮にて。 葉の影にひっそりと鎮座していたり、葉からすくっとぬきいでて立ちひらいていたり。それぞれに個性はあれど、どの花も葉に隠れている泥水のことなんて微塵も感じさせないほどの優 […]