「流星の道」という歌集に収録されている一首。
与謝野晶子の歌といえば「その子二十 櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな」「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」などが有名ですが、私の中で一番好きなのはこの歌。
「星という小人」というワードがまず素敵。キラキラした童話の世界観がパァと広がります。次に「美しき肘のみ見せて寝たる」という巧みな比喩。月を例える比喩はたくさんあれど「肘のみ見せる」はなかなか出てこない表現。そして「夕月」という美しい日本語で締め。完全に引き込まれました。
なんていうんだろう。童話の世界観が影響しているのだろうと思うんですけど、肉眼で眺めるというよりは、二次元に描かれている光景をイメージするんですよね。思わず目を見張るような夕暮れのグラデーションと銀河の美しさに、二次元ならではの創造性を融合させたような・・・。
そこにはきっと私の乏しい想像力よりもはるかに美しい世界が広がっていて、それらが三十一文字の中にギュッと閉じこめられて・・・。ただただ美しいなぁと思うんです。