夏という季節の中で、何気なく掴んだ手すりの冷たさにハッとさせられたのでしょうか。その違和感を「骨」と形容することで、暑い季節にこそ強く感じられるこの違和感が際立ち、無機質で冷たい「骨」とのギャ […]
「2024年」の記事一覧(2 / 6ページ目)
【今日の短歌】きっと覚えておけると思うアラベスクいつか壊れてゆく体ごと (笹川諒)
幼少期にバレエを習っていた私にとって、「アラベスク(arabesque)」という言葉は、優美なバレエのポーズを思い浮かべさせます。このポーズは、片足で立ち上がり、もう一方の足を背後に高く伸ばす […]
【今日の短歌】酵母には死骸とう語があたるかとしばし考えるとろとろのとろ (田中濯)
去年、初めて葛の花を使って酵素ドリンクを作りました。その作り方は非常にシンプルで、水に砂糖と葛の花を加え、常温で放置して発酵を進めるだけです。発酵が進むにつれて、液体は美しいルビー色に変化し、 […]
【今日の短歌】彼岸花 水引草 鶏頭 緋の色のやや寂しきを秋と呼ぼうか (大下一真)
秋の花を問われると、彼岸花は瞬間に脳裏を駆け抜けるもの、水引草や鶏頭はすぐには思いつきません。そうきたかと変化球を投げられたかのような気分になったのちに、秋の微妙な情緒と照らし合わせて「ああ、そうか」と納得 […]
【今日の短歌】ゆくへなく月にこころのすみすみて果はいかにかならむとすらむ (西行)
ゆくへなく月にこころのすみすみて果はいかにかならむとすらむ 西行 行く先が定まらないまま月を眺めれば、月光に心の内を隅々まで照らされていくようだ。このまま自分はどうなるのだろうか。 西行法師は […]
【今日の短歌】かすかなるカルキが匂う脱衣場にたましいまで脱ぐわれかも知れず(斉藤真伸)
なんとなくでも体力をつけようと、市営のプールへ行くことにしました。運動が苦手で、あれこれ模索するものの自分を甘やかしてしまってどうにも長続きしない私。久々にプールにでも行ってみるかと思い立って行ってみたので […]
【今日の短歌】小夜さよ深ふけにさきて散るとふ稗草のひそやかにして秋さりぬらむ(長塚節)
「実りの秋」と称される季節ですが、本日は七十二候の第42候「禾乃登(こくものすなわちみのる)」にあたり、穀物が実る時期を迎えています。この季節に関連して、長塚節の歌「小夜深にさきて散るとふ稗草のひそやかにし […]
【今日の短歌】二百十日の雨瀧のごとくにおちたれば海のただなかに島は濡れゐる(橋本徳壽)
「二百十日」とは、立春から数えて210日目にあたり、古くから台風の襲来に警戒すべき時期として知られてきました。9月1日前後に当たることが多いため、この日が防災の日として制定されています。閏年の今年は、8月3 […]
【今日の短歌】いそぎつつ朝は出てゆく街角に咲きて久しき百日紅の花(古泉千樫)
百日紅(サルスベリ)の幹は、すべすべと滑らかで美しい質感を持ち、その特徴から「猿も滑り落ちる」と喩えられるほどです。そして「咲きて久しき」とあるように、花期が長いことから「百日紅」とも言われて […]