春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 持統天皇
春が過ぎて夏が来たようです。白妙の衣が干されているあの天の香具山に。

 

 

百人一首でおなじみの持統天皇の和歌ですが、あの「新古今和歌集」の夏の部にも掲載されています。万葉集に掲載された原歌は「夏来にけらし」ではありません。春過ぎて 夏来たるらし 白たへの 衣干すてふ 天の香具山 であり「 夏来たるらし」となっています。

 

  • 「来たる」と言う動詞に「らし」という助動詞がついたとすれば「夏が来るらしい」
  • 「たる」「らし」の助動詞が、「来」という動詞に対してつながっているとすれば「夏が来たらしい」

 

後者と解釈した、あるいは「新古今和歌集」の雅やかな歌風に合わせて、編者である藤原定家によって「夏来にけらし」と訂正されたと言われています。