生きていれば大なり小なり壁に直面するものだけど、授けられたものが平等でもなければ、理不尽に立ちはだかることだってあり、その度に完膚なきまでに“われの壁”として受け入れるのはとても難しいことです。
というより、我々が喜怒哀楽を伴う人間である以上、その域に達するのはどうしたって不可能に近いものがあります。だって神仏でもロボットでもなく生身の人間なのだから。だからといってそこに甘んじることなく、恨み、憎しみなどといったあらゆるドス黒い感情を、何度も何度も塗りつぶして強さを手にしてきたのでしょうね。
そのことが特別というわけではないのだけど、他のどの色でもなく「新しき黒」であり「分厚く」であり「われの壁とするまで」なのが決定的な違いであり、そのとてつもない凄みによって乗り越えられた壁もたくさんあるのでしょう。渦巻くブラックな心象を詩型に託すのも、いわば塗り潰しの一環だとも言えます。
黒を以って黒を制す。「白は200色あんねん」のアンミカさん曰く「黒は300色」だそうですが、実際の黒はもっとたくさんの種類があるようです。自分に一番ふさわしい『黒』を見つけられたなら、今よりもずっと強い自分になれそうな気がします。
今日は「黒の日」