子供や孫達のために、蓬を摘んで蓬団子を作ってもてなしたところ「いつ摘んだものなの?」と。つまり、9年前の今日・・・東日本大震災の前なのか後なのかということを、放射能の影響を心配した子に問われているそんな一首。
せっかく蓬団子を作って待っていた立場としては辛いものがあるけど、「子」の立場からしても自分の子供に放射能に汚染されたものを食べさせられないという親心から訊くわけです。自分が「子」の立場だったらどうするだろうと考えてみたのですが、気持ちはありがたく受け取りながらも、我が子に食べさせるとなったらやはり同じように訊いたと思います。
この切ないやりとりは第28回 朝日歌壇賞を受賞し、NHK BSプレミアムの「平成万葉集」などでも紹介されました。
東日本大震災以降、蓬団子の蓬が「いつ摘んだものなのか」と問われる・・・そういう対象へと変わったように、同じようにそれまでとは見方が変わってしまったものはきっとたくさんあるはずで・・・そんなことを思うと余計に身につまされます。
今回の新型コロナウイルス騒動でもそうですけど、提供する側の想いとリスクへの懸念が交差する中でみんなが揺れ動いていて、正解がわからない中で模索しているのが実情ですね。