紅に深くにほへる桜花雨さへ降りて色を染めける 詠み人知らず
紅がとても映える桜花に雨が降り、さらに色を染め上げている

 

 

今日は七十二候の桜始開(さくらはじめてさく)ですが、こちらではソメイヨシノがほぼ満開を迎えています。見頃の一番いい時期に週末を迎えましたが土日ともに雨模様。でもせっかくなので、ちらっとだけ写真を撮ってきました。

 

最も色の濃いの中心部が美しく紅に染まってこそのあの美しい桜色。楚々とした桜が雨に濡れる一層それが際立って、艶っぽさが増すんですよね。ゆっくりとお花見はできないのは残念だし、あんまり早く散ってしまわないでねと気を揉むけど、雨に濡れた桜もそれはそれで風情があって好きです。

 

掲出歌にある「にほへる」は匂うではなく、映えているとか美しく染まるという意味で使われています。少し調べてみたら、「にほふ」の語源は「荷負ふ」からきているのではという説もあるようです。

 

辞書などに記載されている「にほふ」の主な意味は「赤く色づく、美しい色彩に輝く、香る」などであるが、これらはあくまでも派生した意味にすぎず、その語源はおそらく「におふ(荷負ふ)」であろう。すなわち、「にほ・ふ」という語の原形は「にお・ふ(荷負ふ)」であり、転じて抽象的な「匂い」や「色」や「香り」などを「背負う(帯びる)」という意味で用いられるようになったものと思われる。